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新卒で出版社に内定した先輩が語る「出版業界で編集者を目指す学生が覚悟すべきこと」

就活において“狭き門”と言われる出版業界。今回お話を聞いた黒田さんは、2016年卒で出版社に入社し、現在は販売部に所属しています。

非常に謙虚で「私は本当にペーペーで、全部の発言の冒頭に“大変恐縮ですが”をつけたいぐらいなのですが……」と前置きをしつつ、「非常にシビア」だという出版業界で「本が好き」という軸をぶらさずに仕事に打ち込む黒田さん。そんな黒田さんからのアドバイスを紹介します。

「出版業界に新卒で入る」とは

――出版業界は実際にどれくらい“狭き門”なのですか?

厳密な数字ではありませんが、出版業界の新卒採用は全国で合計200〜300人弱ほどと言われています。1社あたり2〜5名くらいしか新卒での採用はしていない計算になりますね。自分が一番行きたかった会社では、新卒採用の枠は2人だけで、残念ながら落ちてしまいました。
また、「出版業界に入りたい」という人には「編集者になりたい」という人が多いと思いますが、入社しても編集者になれない人がたくさんいるのも事実なので、やっぱりシビアだなぁと思っています。もちろん仕事は楽しいのですが。

――「入社しても編集者になれない」とはどういうことですか?

例えば私は今、販売部に所属しています。つまり営業ですね。出版社も1つの会社組織なので、広告部や販売部など、さまざまな部署があります。私はもともと「紙媒体に関わりたい」というのが志望動機だったので、雑誌の販売に携われていることはとても光栄ですが、おそらく出版業界を受ける就活生のほとんどは編集職に就きたいと思っていますよね。だから、出版業界に就職をするのであれば、必要なのは“覚悟”なのだと思います。

――覚悟とは具体的にどのようなものですか?

2種類あって、1つ目は「自分のやりたい仕事にはすぐに就けないかもしれない」という覚悟です。「編集の仕事をしたくて入社したけど15年営業をしている」と、会社説明会で赤裸々に語ってくださった先輩の言葉をよく覚えています。2つ目は「プライベートをある程度捨てる」という覚悟。

これは学生時代にとある女性の編集長に言われたことですが、「子どもを産んでからすぐに職場復帰をしたので、子どもは保育所に預けていた。きっと寂しい思いを沢山させてしまったと思うし、周りからは冷たい母だと思われたかもしれない。だけど私は仕事に生きると決めたから、働いている私をカッコいいと思ってもらえるように働くことしかできない。私には役職があったから、その覚悟が必要だった」と。

その話がすごくリアルで……。学生なりにですが、同じ女性として、その覚悟を目の当たりにして、より一層身が引き締まったことを今でも忘れていません。編集者は媒体にもよりますが、作家さんに呼び出されたら休日でも仕事をしなければいけないこともあるし、イベントが土日に開催されることもよくあります。締め切り前の会社では、夜遅くまで残っている編集者をよく見ますね。

――ちなみに、新卒で出版社に入社できなければ編集者にはなれませんか?

出版業界を目指す就活生ならご存知かと思いますが、“編プロ”つまり編集プロダクションに所属する道もあります。下請け業務を少人数で行うのでかなり忙しいと言われていますが、確実に編集力はつきますし、そこで成果を残して出版社に転職をする人もいます。また、出版社でもアルバイトや業務委託から、という人もいますね。実際には、出版、編プロ、関連のある広告系を並行して受ける就活生が多いのではないでしょうか。私はとにかくこの業界に入りたかったので、ウェブ漫画サイトの求人なども必死でチェックしていましたね。

――出版業界はデジタル化の傾向とも言われますが、その点はどうですか?

私は漫画がすごく好きなんです。最近では『LINEマンガ』なども普及して、デジタルで漫画を読む機会も増えたように思います。一方で、私は紙媒体は絶対になくならないと思っています。指でページをめくる感覚は代えが利かないものですし、「これは紙で読みたい」「これはウェブで読みたい」という選択肢が増えている、ということではないでしょうか。

出版業界を目指す学生が準備しておくべきこと

――黒田さんはどんな学生生活を送っていましたか?

大学在学中は文章を書いてお金を稼いでいました。飲食やテレアポのアルバイトと兼業で。学生時代に、とある作品を書いてコンテストに応募し、運良く賞をいただいたのがきっかけです。作品の印税をもらったので、学費は親に全額一括で支払いました。本当に運が良かったなと思いつつ、そのことは就活のときにアピールしまくりました(笑)。それが唯一、インパクトのあるエピソードだったので。

私は高学歴でもないし、さほど読書家でもないし、フリーペーパーを作るようなサークルにも入っていなかったし、留学経験もありません。それでも、自分の個性を伝えることに全力を注げば大丈夫だと、自分自身を鼓舞しながら就活をしていましたね。出版業界を目指す仲間が近くにいなくて、孤独を感じていても、「面接官は自分の個性を見抜いてくれるに違いない」と信じて面接を受けていました。

――出版業界に入るにはどんなスキルが必要ですか?

よく「大学生のうちに出版社でアルバイトした方がいいですか?」と利かれますが、その必要はないと思っています。私は就活のときに、もっとたくさん本を読んでおけばよかったと後悔しました。これもあくまで自論なのですが、出版社で求められているのは「説明力」と「好奇心」だと思っています。「この作品がなぜ好きなのか」を自分の言葉で伝える力と、世の中の全てのことは自分に関係していると思って突っ込んでいく心を磨くことだと思っています。

「あなたの好きな本TOP3は?」「それはなんで?」というような質問を、面接でよくされます。今仕事をしていても「どっちの表紙がいいと思う?」「それはなんで?」とか。そういうときに理由をすぐ答えられなくて、自分まだまだだなぁと感じますね。

とくに雑誌では、ライター、編集部、広告部、販売部など、多くの人が関わるので、作りたい特集と売れる特集のバランスをとることが難しい。それでも納得のいく1冊を作るために、最終的に求められるのは、自分の熱意で周りの人を巻き込むことです。だから、人に何かを伝える説明力が必要とも言えますね。

――実際の就活ではどんなことを意識しましたか?

リアルな話ですが、筆記試験の勉強は『朝日キーワード』という時事問題集と、SPI対策の問題集を使ってしていました。ただし、漢字は勉強する量が膨大すぎるので運任せでした(笑)。

あとは、振り返るとクリエイティブテストがかなり重要でした。穴埋めの俳句の問題があって、例えば「“ドローン”という言葉を使って俳句を作ってください」みたいな。お恥ずかしながら、当時はドローンが何かわからなくて、時間も差し迫っていたので、やっつけで「お化けがどろ~ん」というような、しょうもない俳句を書き殴った記憶があります(笑)。今思い返しても頭が痛くなりますが、それでも筆記試験を通ったので、おそれずユーモアを振り絞ってみるのがいいかもしれません。しょうもなさすぎるとわかっていても、空欄は無理やりすべて埋めました。

――素直なところが評価されたのかもしれませんね。

今でも会社では、バカで素直なキャラですね(笑)。理論的に話すのが苦手なことは、自分でもわかっているので。でも、どんなキャラクターでどんなものが作れそうなのかという、その人の「世界観」みたいなのも大切だと思っています。短い面接時間の中で世界観を表現するのは難しいのですが「出版業界について勉強した」とか「本が好き」とか、そういうことだけじゃもう、差別化できないんです。だって出版社に行きたい人はみんなそんな感じだから。

「自分は特別じゃないし本が好きなのは当たり前だ」と思った上で、「じゃあどこが自分の個性なのか」ということに向き合うのが大切だと思っています。

自分の「やりたいこと」が「向いている」とは限らない

――黒田さん自身は、編集者志望だったのですか?

それは、そうです。ずっと漫画が好きで、漫画の編集者になりたいと思っていました。でも、ある雑誌の編集長にOG訪問をしたとき、「自分のやりたいことが自分に向いているとは限らないんだよ」って言われて、それがすごく衝撃的だったんですよね。たしかにそうだなって思って。だから、面接で「もし興味のない部署に配属されたらどうする?」と聞かれたとき「それはショックだと思います。でも、私は今、どんな仕事が自分に向いているかもわかっていません。興味がなくても、向いてることがあるかもしれない。そう思って頑張ります」と答えました。

入社してから、学生時代と比べて、より一層好奇心が旺盛になったと感じています。知ろうともしていなかったことに興味が湧いたり、既に知ってることの違う楽しみ方を知ったり。それは、出版業界の最大の醍醐味だと思っています。私の仕事は、本屋さんが並べたいもの、つまり、読者が買いたいものと、編集部が作りたいものと、作家さんが作品に込めた思いなど、すべてをつなぐ仕事なんです。まだまだ未熟者ですが、そんなところにやりがいを感じて働いています!

――ありがとうございます。最後に、出版業界で編集者を目指す就活生へのアドバイスをお願いします。

繰り返しになりますが、たくさん本を読んでおくことは間違いなく自分のプラスになります。できれば、この本のどんなところがよかったのかを、人に説明して、その人にその本を読んでもらえるまでになると素晴らしいです。よかったところをたくさん説明できるように、自分が好きだと思う作品とたくさん出会ってください。

あとはOB・OG訪問ですね。ツテがなければ編集長の講演会や出版社が集まるフェアなどで、積極的につながりを求めてみるのも、情報収拾の面ではいいかもしれません。

そして「興味のない部署に配属されたらどうする?」という質問は面接でもよくされるので、自分なりの答えを持っておくといいと思います。新卒で編集部に入れる人は想像以上に少ないというシビアな現実を理解した上で、なぜ自分が出版業界を目指すのかを説明できるようにしておくといいでしょう。

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